幸手の石のお猿さん

今回は、申年の2016年にちなみ、猿と関わる身近な幸手の文化財について紹介します。
市域の石造物を網羅的に調査した幸手市文化遺産調査報告書の『幸手の石造物』(全6冊)には、400基を超える庚申塔が掲載されています。
庚申塔は、庚申講という庚申信仰を持つ幸手の人たちがその供養のために建立しました。
庚申講は、60日に一度めぐりくる庚申の日に宿に籠り、眠らずに語り明かし、長寿と健康を祈る信仰行事です。徹夜で過ごす理由は、庚申の日に眠ると体内の三尸が天に昇り、天帝にその人の悪行を告げ寿命を縮めようとすると信じられていたからです。
庚申塔には、庚申の文字や、青面金剛という鬼神像が彫られていますが、その下の方に「見猿・聞猿・言猿」の三猿が配置されていることがあります。ご存知でしたか?
両目・両耳・口を両手でふさぎ、「見ざる・聞かざる・言わざる」の三態を表した三猿は、一般に日光東照宮のものが有名ですが、わざわざ日光まで行かなくても、市内のいたるところで見ることができます。

三猿が刻まれた庚申塔の数を『幸手の石造物』で確認したところ221基ありました。つまり、幸手の庚申塔には、合計663びきもの猿がいることになります。これは、すごい数ですね。
ぜひ一度、石の中でお澄まししたり、おどけたりしているお猿さんたちを見てみましょう。
更新日:2020年06月02日