地域で守るマリア地蔵

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更新日:2020年06月02日

マリア地蔵

 江戸時代の徳川幕府がキリスト教の信仰を禁止していたことは、よく知られています。禁止以後、幕府はキリスト教徒を弾圧し、改宗を迫りました。
 その厳しさを示す資料に宗門人別改帳という書類があります。当時の行政を担った村では、この書類を領主に提出し、誰がどの寺院の檀家で、キリスト教徒でないことを檀那寺に証明させました。
 このため、信徒の中には、表向きの改宗を装い、密かに信仰を守り続けた者がいたといわれ、それを一般に「隠れキリシタン」といいます。
 隠れキリシタンの信仰を伝える資料にマリア地蔵やマリア観音などと呼ばれる仏像類があります。聖母マリアとキリストの姿を仏像になぞらえ表現したものと考えられ、大字権現堂にあるマリア地蔵もその一つです。

地蔵菩薩立像

 石造りの地蔵菩薩立像には、文政3年(1820年)の造立銘があり、キリスト教の信仰を密かに伝える十字架や魚、蛇などの仮託物があるほか、「イメス」という片仮名文字が刻まれ、隠れキリシタンの信仰対象であったとみられています。そうした価値が認められ、1983年に市指定文化財に指定されました。
 貴重なマリア地蔵を日差しや風雨から守る覆屋が劣化したため、2013年11月には、管理者の権現堂地区の区長さんと地域の方との協働で、改築工事が行われました。
 こうした地域の取り組みが、残された大切な文化財を守り続けていくのです。

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