埼玉県の植生
植生とは
植生という言葉の意味は、一定の広さをもつ地域に自生する全ての植物の集合体のことで、住宅の庭のような狭い所や、単体の植物のことを指しては言いません。植物の社会といってもいいでしょう。
植生は、気候(主に気温と降水量)によって大きく異なり、さらに水や土、日当たり等によって細かな違いが生じています。
日本列島は、降水量が多いために、ほとんどの地域で森林が発達することができます。そのため、高山から平野まで、北海道から沖縄・南西諸島まで、気温の変化に対応したいくつかの森林帯に分けることができます。
また、植物の育ち方にも様々な違いがあります。植物が自然のままに育った所もあれば、人によって植えられた所もあり、農作物の栽培と収穫が繰り返されている所もあります。幸手の土地はどこでも人の手が加わっており、植物もその影響を受けたり、人に育てられたりしています。
埼玉県の植生の特性
気候による森林帯区分からみると、幸手を含む埼玉県の平野は、暖温帯と呼ばれる区分に属しています。暖温帯を代表する樹木は、スダジイ・アラカシ・ウラジロガシなどのカシ類、タブノキといった常緑広葉樹です。中間温帯はモミ・ツガといった針葉樹とクリ・コナラ・クヌギなどの落葉広葉樹に、冷温帯はブナなどの落葉広葉樹に、亜寒帯はコメツガ・シラビソ・オオシラビソなどの常緑針葉樹に代表されます。
人の影響を受けないで発達した原生的な森林を極相林といいますが、埼玉県には古くから各地に人が住みついたため、極相林は断片的にしか見られません。常緑広葉樹のスダジイ・アラカシ・ウラジロガシ、常緑針葉樹のモミ・コメツガ・オオシラビソなどの極相林が残存しています。
伐採や焼失等の後に育つ森林を二次林といいます。埼玉県では、生産のために開発された農地や植林地のほか、丘陵地や台地のアカマツ・コナラや、沖積低地のハンノキ・ヤナギといった農業や生活に関係の深い二次林が維持されてきましたが、近年では利用価値が薄れたため大幅に減っています。
また、山地には多様な植物が見られるのに比べて、平野の植物相は単調な傾向が見られます。


出典:埼玉県環境管理指針
更新日:2020年03月13日