人権とは
人権とは、私たち一人ひとりにとってかけがえないものであり、誰もが生まれながらにして持っている人間として幸せに生きていくための権利です。
しかし、私たちの周囲を見ますと、部落差別をはじめ、子ども、障がい者、女性などに対する差別や虐待など、さまざまな人権問題があります。
私たちは、誰もが幸せに生活できるように、お互いを尊重し、力をあわせて人権を大切にする社会を築いていかなければなりません。
誰もが喜びと生きがいを実感しながら平等に社会に参加し、力を合わせて他人も大切にできる社会を実現するためにも、差別について正しく認識し、差別を許さないという強い意志を持つことが大切です。
人権週間
国際連合(国連)は、1948年(昭和23年)12月10日の第3回総会において、世界における自由、正義、平和の基礎である基本的人権を確保するため、全ての人民と全ての国とが達成すべき共通の標準として世界人権宣言を採択し、1950年(昭和25年)の第5回総会で世界人権宣言を採択した12月10日を「人権デー」と定めました。我が国においては、毎年12月4日から同月10日までを、「人権週間」と呼んでいます。
身近にある「人権問題」
女性の人権
「男性は仕事、女性は家庭」といった性別による固定的な役割分担意識は依然として残っていることから、社会生活のさまざまな場面において女性が不利益を受けることがあります。さらに、核家族化や長時間労働などにより、仕事と家事、育児、介護などの家庭生活との両立はいまだに難しく、結果的に女性の社会進出が妨げられているという状況があります。
また、夫・パートナーからの暴力(DV)や職場などにおけるセクシュアル・ハラスメント、性犯罪などの「女性に対する暴力」も、女性の人権を侵害する重大な問題です。
みんな違う個性を持った人間です。男性、女性という性別だけにとらわれず、多様な人生を選択できるような社会を築かなければなりません。
子どもの人権
世界中には、貧しさや食糧不足、戦争などで苦しんでいる子どもたちが多数います。
わが国でも子どもの人権尊重に向けた取り組みを積極的に進めていますが、子どもの人権が完全に守られているとは言いがたい状況にあります。
家庭において親などから虐待を受ける子どもの数は依然として多く、また、学校においては、いじめや不登校などの問題が発生しています。さらに、社会においては、児童買春、薬物乱用など子どもの健康や福祉を害する犯罪も多く発生しています。
このような問題の背景には、学校、家庭、地域社会における子どもを取り巻く環境の急激な変化などの要因が複雑に絡んで発生していると考えられます。特に、近年のパソコンや携帯電話などの普及により、インターネット上で他人のプライバシーを侵害したり、掲示板に悪口を書き込んだりするなどの行為が見られ、いじめなどの要因となっているところです。
大人たちは、未来をになう子どもたち一人ひとりの人格を尊重し、子どもの人権が尊重されるよう自らの責任を果たしていくことが強く求められています。
高齢者の人権
わが国の高齢化は世界でも類を見ない速さで進んでいます。このような中、社会参加の意欲があるのに年齢を理由にその機会を奪われ、身体的虐待、食事介助などの世話や介護の放棄、無視・悪口・侮辱などの心理的虐待、財産権の侵害などの問題が生じています。
高齢者が豊かな経験や知識を生かしながら、社会の重要な一員として、生き生きと安心して暮らすことのできる社会づくりのために、一人ひとりが高齢者の人権に配慮し、お互いに支え合っていくことが大切です。
障がいのある人の人権
国や地方自治体は、障がいのある人の権利を擁護し、障がいのある人の福祉を増進するため、さまざまな取り組みを行っていますが、障がいの発生原因や症状への理解不足からくる偏見や差別意識、物理的・制度的なバリアフリーの未整備などにより、障がいのある人々が不利益を被ったり、自立や社会参加を妨げられたりする問題が生じています。
障がいのある人もない人も、共に社会の一員として自立した生活を送ることができる社会を目指して、すべての人がお互いの人格と個性を尊重し、支え合っていくことが大切です。
外国人の人権
国際化の著しい進展に伴い、多くの外国人がわが国で生活しています。しかし、言語、文化、宗教、習慣などの違いからくる偏見や差別意識から、外国人に対する就労差別やアパートなどへの入居拒否などの問題が生じています。
これからは、広く国際的な視野に立って、外国人の持つ文化や生活習慣などの多様性を理解し、これを受け入れ、尊重していくことが、国際化の時代を生きる私たちにとって大切なことです。
部落差別
人は自分の意志で生まれるところを選ぶことはできません。それにもかかわらず、被差別部落に生まれ育ったというそれだけの理由で、基本的人権を侵害され、就職や結婚などで差別を受けてきた事実があります。
これまで国は、この部落差別の解消に向けて特別対策により、各種の施策や事業を推進してきました。このことにより、被差別部落の生活環境は改善されてきていますが、差別意識の解消については、なお、十分とは言い難い状況にあり、わが国固有の重大な人権問題です。
私たちは、部落差別を正しく理解し、差別を許さない人間形成を目指すことが大切です。
えせ同和行為
個人、企業、行政機関などに対して、部落差別の解消に努力しているように装い「高額な図書の購入強要」や「寄付金・賛助金の強請」などの不法、不当な行為や要求をすることをいいます。
えせ同和行為の横行は、その不当な行為により、企業や行政機関のみならず、国民の間に、部落差別に対する誤った意識を植え付け、新たな差別意識を生む大きな要因となっています。
これは、部落差別解消のために多くの人々が積み重ねてきた教育と啓発活動の効果を、一挙に覆す許されない行為です。
このほかにも、つぎのような人々を巡る人権問題などがあります。
- HIV感染者・ハンセン病患者など
- 犯罪被害者やその家族
- アイヌの人々
- インターネットによる人権侵害
- 北朝鮮当局による拉致問題
- 災害時における人権への配慮
- 性的志向・性自認
- 刑を終えて出所した人
- ホームレスの人権
- ハラスメント
- ケアラー・ヤングケアラー
- 依存症に関する人権問題
- ひきこもりに関する人権問題
- その他
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更新日:2024年03月12日