○幸手市男女共同参画を推進する条例
平成29年3月17日
条例第6号
我が国においては、個人の尊重と法の下の平等が日本国憲法にうたわれており、男女共同参画の形成は、21世紀の我が国の社会を決定する最重要課題の一つとして位置付けられるものである。
これを踏まえ、幸手市では、これまで、男女共同参画社会基本法の下、「男女共同参画プラン」を策定し、男女共同参画に関する様々な取組を進めてきた。
しかしながら、今日においてもなお、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会慣行は依然として根強く、雇用不安や虐待、ドメスティック・バイオレンスなどの様々な問題が存在し、男女が平等に社会へ参画するには、多くの課題が残されている。
一方、現在の経済・社会環境は、人口構成の変化、高度情報化や国際化などの多様な変化が生じ、地域における人間関係の希薄化が進み、孤立・孤独・老老介護の問題などが顕在化している。特に幸手市においては、人口の減少や少子高齢化が急速に進行し、核家族世帯率が上昇している。そのような中で、女性は、労働力率が出産・子育て期に大きく低下する傾向があり、男性は、通勤時間が長く、家事・育児・介護等の家庭生活における参画が必ずしも十分ではないという傾向である。さらに、社会的弱者に配慮した防災等のまちづくりや女性の職業生活における活躍に関する支援など、男女共同参画を推し進める中で、解決しなければならない課題が山積している。
こうした現状を踏まえ、全ての男女の人権が尊重され、個人としての能力を発揮して自主的に行動できる男女共同参画社会を実現するためには、全ての男女が、社会的文化的に形成された性別の概念にとらわれず、あらゆる分野に対等に参画し、責任を分かち合うことができる男女共同参画のまちづくりを、総合的かつ計画的に推進することが必要不可欠である。
ここに、市、市民及び事業者が協働して、男女共同参画社会の実現を目指し、「都市と自然が調和した安心・安全で活力ある幸手市」を築くため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する市の基本的施策について必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、全ての男女の人権が尊重され、個人としての能力を発揮して自主的に行動できる男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 市民 市内に在住、在勤又は在学する者をいう。
(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。
(4) 積極的格差是正措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を是正するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(5) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害することをいう。
(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者その他親密な関係にある者又は当該関係にあった者から受ける身体的、精神的、性的、経済的又は社会的な暴力をいう。
(7) 女性活躍 自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 男女が個人としての尊厳を重んじられること。
(2) 男女が直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別的な取扱いを受けないこと。
(3) 男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること。
(4) セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスその他の性別による暴力(以下「性別による暴力」という。)が根絶されること。
(5) 男女が家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による固定的な役割分担意識に基づいた社会の制度又は慣行によってその活動が制限されることなく、自らの意思及び責任により多様な生き方が選択できること。特に、女性活躍の推進が図られること。
(6) 男女が社会の対等な構成員として、市の政策又は事業者における方針の立案及び決定に参画する機会が確保されること。
(7) 家族を構成する男女が、互いの協力及び社会の支援の下に、子育て、介護その他の家庭生活における活動及び就業、就学その他の社会生活における活動が円滑に行われること。
(8) 妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項について、男女の相互の意思が尊重されること及び生涯にわたり男女が健康な生活を営むことについて配慮されること。
(9) 国際社会における取組と密接な関係があるとの認識に立ち、国際的な協調の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置付け、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する基本的施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 市は、男女共同参画の推進に当たっては、国、埼玉県及び他の地方公共団体との連携を図るとともに、市民及び事業者と協働して取り組むものとする。
3 市は、第1項の基本的施策を実施するために必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるように努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する基本的施策に積極的に協力するように努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に取り組むとともに、男女が協働して参画することができる体制の整備に努めなければならない。
2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する基本的施策に協力するように努めなければならない。
(性別による権利侵害の禁止)
第7条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的な取扱い、性別による暴力、その他の性別に起因する人権侵害を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に情報を表示する際には、次に掲げる表現を用いないように努めなければならない。
(1) 性別による固定的な役割分担又は差別を連想させ、又は助長する表現
(2) 性別に起因する暴力を助長し、又は是認する表現
(3) 過度の性的な表現
(市の基本的施策等)
第9条 市は、男女共同参画を推進するため、次に掲げる施策等を行うものとする。
(1) 市民及び事業者に男女共同参画に関する理解を深めるために必要な広報活動、男女共同参画を推進する活動の情報及び学習機会の提供、情報紙の発行その他必要な措置に関すること。
(2) 学校教育、社会教育その他あらゆる分野の教育における男女共同参画を推進するため、必要な措置に関すること。
(3) 事業活動、家庭生活、地域生活等における活動とを両立できるように、子育て、介護等の支援に関すること。
(4) 性別による暴力の防止及び当該暴力の被害を受けた者に対する必要な支援に関すること。
(5) 女性活躍を推進するため、必要な支援に関すること。
(6) 市民及び事業者と協働して実施する積極的格差是正措置に関すること。
(7) 審議会等における委員を委嘱し、又は任命する場合に、男女の均衡を図るための積極的格差是正措置に関すること。
(8) 男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項及び男女共同参画の推進を阻害する問題についての情報収集及び調査研究に関すること。
(行動計画の策定)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する市の基本的施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する行動計画(以下「行動計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、行動計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を反映するように努めるとともに、第15条の規定により設置する幸手市男女共同参画推進協議会に諮問するものとする。
3 市長は、行動計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
4 市長は、社会情勢の変化等に対応するため、必要に応じて行動計画の見直しを行うものとする。この場合において、前2項の規定は、行動計画の見直しについて準用する。
(施策の推進体制の整備)
第11条 市長は、男女共同参画の推進に関する基本的施策を総合的かつ計画的に実施するために、必要な体制を整備するものとする。
(実施状況の公表)
第12条 市長は、毎年度、行動計画の実施状況を公表するものとする。
(相談窓口)
第13条 市長は、市民が性別による差別的な取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因によって、人権を侵害された場合の相談を受けるための窓口を総務部人権推進課に置くものとする。
2 市長は、前項の相談を受けたときは、他の機関と連携を図り必要な支援を行うものとする。
(平29条例22・一部改正)
(苦情の処理)
第14条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画を推進することに影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民又は事業者から苦情の申出を受けた場合は、適切な措置を講ずるように努めるものとする。
2 市長は、前項の申出に対応する場合において、必要があると認めるときは、幸手市男女共同参画推進協議会の意見を聴くことができる。
(男女共同参画推進協議会)
第15条 男女共同参画社会の実現に向けて必要な事項について調査審議するため、幸手市男女共同参画推進協議会(以下「協議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第16条 協議会は、次に掲げる事項を所掌する。
(2) 第14条第2項の規定によりその権限に属させられた事項について調査し、意見を述べること。
(3) 行動計画の実施状況その他男女共同参画社会の実現に向け必要があると認める事項に関し、自ら調査審議して市長に対し意見を述べること。
(組織等)
第17条 協議会は、委員13人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 公募による市民又は事業者の代表者
(2) 学識経験者
(3) その他市長が特に必要と認める者
3 男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満にならないように努めるものとする。
4 委員の任期は2年とし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 委員は、再任されることができる。
6 協議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選によってこれを定める。
7 会長は、会務を総理し、協議会を代表する。
8 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第18条 協議会の会議は、会長が招集し、その議長となる。ただし、委員の委嘱後の最初の協議会の招集は、市長がこれを行う。
2 協議会の会議は、委員の過半数の出席がなければ、開くことができない。
3 協議会の会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 協議会は、必要があると認めるときは、委員以外の者の出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(庶務)
第19条 協議会の庶務は、総務部人権推進課において処理する。
(平29条例22・一部改正)
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成29年6月1日から施行する。
(幸手市男女共同参画推進協議会条例の廃止)
2 幸手市男女共同参画推進協議会条例(昭和61年幸手市条例第40号)は廃止する。
附則(平成29年12月22日条例第22号)
この条例は、平成30年4月1日から施行する。