○幸手市環境基本条例

平成17年12月27日

条例第34号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全と創造に関する基本的な施策(第7条―第17条)

第3章 環境審議会(第18条)

第4章 委任(第19条)

附則

わたしたちのまち幸手市は、古くは日光街道の宿場町として栄え、緑織り成す豊かな田園風景に代表される自然豊かなまちとして発展してきました。また、中川や江戸川では船運を中心とした河岸場が栄え、豊かな水を利用した水田が広がり、雑木林や屋敷林などといった自然の恵みのなかで、先人達は自然の恩恵を享受し、互いに共存しながら栄えてきた歴史や文化がありました。しかしながら近年、便利さや物質的な豊かさを求め、限りある資源やエネルギーを大量に消費するといった生活様式の変化に伴い、わたしたちのこういった活動が、豊かな自然を破壊する原因となり公害や生態系、さらには地球規模での環境悪化を招いています。今わたしたちは、わたしたちの享受している環境がわたしたちの営みによって急激に変化していることについて重く受け止めると共に、人類は自然の中で生かされていることを再認識することが大切です。そしてこれまでのわたしたちの行動を見直し、真の自然との共存・共生の中で、市民・事業者・市が協働して、環境の保全と創造に向けて積極的に行動することが必要です。わたしたちはここに、すべての市民の参加と協働により、現在及び将来の市民が健康で文化的な生活が営める持続可能な循環型社会を築き、次の世代に引き継ぐことを目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造に関し、基本的な考え方を定め、市民、事業者及び市の責任を明らかにし、環境の保全と創造に関する施策の基本的事項を定めることで、環境への負荷が少なく持続的に発展することができる社会を築き、現在と将来の市民が環境と共生しながら健康で文化的な生活を営むことができるようにすることを目的とします。

(用語の意味)

第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動によって環境に加えられる影響であって、環境の保全と創造を推進する上で支障の原因となるおそれのあるものをいいます。

2 この条例において「公害」とは、環境の保全と創造を推進する上で支障となっているもののうち、事業活動その他人の活動によって生じる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下又は悪臭によって人の健康や生活環境に関係する被害が生ずることをいいます。

3 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化、オゾン層の破壊の進行、大気及び海洋の汚染、野生生物の種の減少、放射性物質や化学物質による汚染その他地球規模の環境に影響を及ぼす事態に対する環境保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいいます。

(基本的な考え方)

第3条 環境の保全と創造は、環境が積極的に保全を行わなければ失われやすいものであるという認識に立ち、環境への負荷について学び、理解し、その保全と活動に対し、すべての者が積極的に取り組むことによって行われなければなりません。

2 環境の保全と創造は、人と自然の営みが互いに享受されるものであることを認識し、人と自然が共に生きる社会において、市民が健康で文化的な生活が営める良好な環境を確保し、将来の市民に引き継いでいくことを念頭に行われなければなりません。

3 環境の保全と創造は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっているという認識の下、地球規模で発生している環境問題をひとり一人の問題ととらえ、それぞれの日常生活や事業活動の中で、積極的に推進されなければなりません。

(市民の責務)

第4条 市民は、前条の基本的な考え方(以下「基本的な考え方」といいます。)の下、その日常生活において、省エネルギー、廃棄物の排出抑制等環境への負荷の低減に努めなければなりません。

2 前項に定めるもののほか、市民は、市が行う施策や事業に積極的に参加し、協力するとともに、自ら環境の保全及び創造に努めなければなりません。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本的な考え方の下、その事業活動を行うに当たっては、省資源及び省エネルギー、廃棄物の排出抑制等環境への負荷の低減に努めるとともに、その事業活動によって生ずる公害の発生を予防し、良好な環境を保全するために自ら適切な措置を行わなければなりません。

2 前項に定めるもののほか、事業者は、市が行う施策や事業に積極的に参加し、協力するとともに、自ら環境の保全及び創造に努めなければなりません。

(市の責務)

第6条 市は、基本的な考え方の下、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実行しなければなりません。

第2章 環境の保全と創造に関する基本的な施策

(環境への配慮)

第7条 市長は、環境への影響を及ぼす可能性があると認められる施策の策定及び実施に当たっては、環境への配慮を優先し、環境への負荷を減らすとともに、環境の保全と創造に努めます。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、幸手市環境基本計画(以下「環境基本計画」といいます。)を策定します。

2 市長は、環境基本計画を策定するときは、あらかじめ市民、事業者及び市民や事業者が構成する団体(以下「市民団体」といいます。)の意見を聴くとともに、第18条に規定する環境審議会の意見を聴きます。

3 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表します。

(環境基本計画との整合)

第9条 市長は、環境への影響を及ぼす可能性があると認められる施策を策定したり、実施したりする場合には、環境基本計画との整合を図ります。

(情報の収集等)

第10条 市長は、環境の保全と創造に関する情報を適切に収集し、提供するよう努めます。

2 市長は、環境の現状把握に関する調査、その他の環境の保全と創造に関する施策の策定に必要な調査を実施します。

(財政上の措置)

第11条 市長は、環境の保全や創造に関する施策を効果的、効率的及び継続的に推進していくため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めます。

(環境教育と環境学習)

第12条 市長は、市民、事業者及び市民団体が環境の保全と創造に関する理解を深めるために必要な教育と学習に取り組みます。

(市民活動への支援)

第13条 市長は、市民、事業者及び市民団体が自発的に行う、環境の保全と創造のための活動に対し、必要な支援をおこないます。

(環境の保全と創造に関する事業の推進)

第14条 市長は、環境の保全と創造に関する施策を推進するため、体制の整備その他の措置を講ずるよう努めます。

(市民の参加)

第15条 市長は、環境の保全と創造に関する施策について、市民、事業者及び市民団体からの意見の反映に努めます。

2 市長は、環境の保全と創造に関する施策を推進するため、市民等の参加その他必要な措置を講ずるよう努めます。

(地球環境の保全への取組み)

第16条 市長は、市民、事業者及び市民団体と協力して、地球規模で発生している環境問題について、国、県及び他の地方公共団体とともに、その問題の解決に取り組みます。

(広域的な連携)

第17条 市長は、環境の保全と創造に関して、広域的な取組みが必要とされる施策の策定や実施においては、国、県、他の地方公共団体と協力して推進します。

第3章 環境審議会

(環境審議会)

第18条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、幸手市環境審議会(以下「審議会」といいます。)を置きます。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、環境の保全と創造に関する基本的事項を調査審議するとともに、必要に応じて、市長に対し環境の保全と創造に関する施策について、助言及び提言を行うことができます。

3 審議会は、委員10人以内で組織します。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱します。

(1) 学識経験者

(2) 環境保全に関心の高い者

(3) 関係団体を代表する者

(4) 関係行政機関の職員

5 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。

6 委員は、再任されることができます。

7 審議会に、会長と副会長を置き、委員の互選によってこれを定めます。

(1) 会長は、会務を総理し、審議会を代表します。

(2) 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は欠けたときは、その職務を代理します。

第4章 委任

第19条 この条例の施行に関し必要な事項については、規則で定めます。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年4月1日から施行します。

(幸手市環境審議会条例の廃止)

2 幸手市環境審議会条例(平成15年幸手市条例第14号)は、廃止します。

幸手市環境基本条例

平成17年12月27日 条例第34号

(平成18年4月1日施行)